コンサルタントの現場力 野口吉昭

要旨

「仕組む力」というのは、現場の中における、その現場を強くするための仕組みだ。ミスを起こさない仕組みとか、顧客から意見を吸い上げるための仕組みとかのことである。そして、その強くなったものを元手にして、いかに市場に対して仕掛けるとか、競合に対して仕掛けるとか、新しい事業で仕掛けるかといういう力が「仕掛ける力」である。このバランスが非常に大事。
現場力とは、仕組む力・仕掛ける力そのものであり、より顧客の近くにあるのが現場である。つまり現場力とは顧客に近い仕組む力と仕掛ける力のバランスであると定義できる。p25.26


ミスミの三枝さんを筆頭に、「現場力」持ったコンサルタントが活躍しています。彼ら彼女らが活躍出来るのはなぜか?コンサルタントの「現場力」の活かし方について、探ることが出来ます。
人間力」「思考力」「実践力」に分け、わかりやすくまとめてくれています。


感想

ビジネスの現場でどのようにコンサルタントの「現場力」を活かすのかという観点で読みました。
これらのスキルは、コンサルタント特有なものでもなく、現場にいる一人一人が持つべきものでしょう。
一方、組織内のしがらみや、上司からの仕事をこなすことに時間が追われている場合には、なかなか組織全体を俯瞰した行動をすることは難しいといえます。
大切なのは、「現場力」に目を向け、友人との合コン、勉強会の企画など場にこだわらず様々なところで試してみることでしょう。

本著が記している能力の中で、私が特に印象に残ったものとして「ゼロベース思考」があります。ゼロベース思考とは、ゼロから白紙で考えること、固定観念、これまでの常識をかなぐり捨てることを表します。
まずは、どのような時も自分自身の前提を疑うこと、そうすることで今まで気付かなかったものが見えてくる気がします。

大きな変革期とされる現代、「ゼロベース思考」で物事を考えることは、これからの社会をデザインしていく人財にとって必須ではないでしょうか。

提案

・彼女(身近な女性)の思考法の検証(物事に執着しない男性でも可。)

著者は、ゼロベースになりたかったら女性に学べ!と記し、理由として、男性の方が女性より執着することを挙げています。若干、飛躍しているようにも感じますが、確かに男性の方が女性より物事への執着は少ないといえます。
執着しない人を見ると、根性がない等、ネガティブに捉えらることも多いのですが、あえて、ポジティブに捉え、思考法を観察、活かすことを大切にすることも重要です。


・自身で勉強会等の組織運営の実施

書籍等で様々な学びを得ても、なかなか普段勤めている会社で「試す」ことは責任感や失敗した時の恐れで難しいことがあるかもしれません。そういう時は、自身で組織を運営することで「試す」ことは非常に効果的だと思います。
思考の癖をつけていき、それらの学びをじょじょに職場で活かすことで良い循環が生まれるかもしれません。


・座禅会の実施

相手と話しているときは、どうしても相手の気持ちに同調しがちであり、自分の考えを伝える時は、どうしても自分のことで頭が一杯になりがちです。
それらを一度手放して、より大きな視点、天から見下ろすような視点で物事を考える感覚(本著では「幽体離脱」と表現)は様々なことが動くきっかけになります。
そうした感覚を身につけるために「座禅」は大きく役立ちます。