FREE〜無料からお金を生み出す新戦略

  • 概要

「FREE」無料からお金を生み出す新戦略。ロングテール理論で有名な、クリス・アンダーソンが新たに書かれた著書になります。近年、急速に増えている無料でのサービス提供。
なぜ、無料で提供できるのか?無料でなりたっているのはなぜか?無料をどのように活かしていけるのか?についての考察をくれます。

  • 感想

「FREE」を効果的に使っていくためには、どうしたら良いのか?という観点で読みました。
理論はともかく、わかりやすいフリーの事例が多々あることが一番、学びを与えたてくれます。
中でも、オープンテキストブックの事例は、秀逸です。

アメリカの大学生は、年間、書籍代で1000ドル前後、使うという事実があります。日本の大学生もそうですが、学生にとって、一学期しか使わない書籍に、お金を払うのは相当な負担になるため、古本市場が広がっています。
この状況に対し、オープンテキストブックは、1つの市場を開拓したわけです。

オープンテキストブックとは、編集やアップデートができて、いくつかカスタマイズができる無料教材です。(正確には、印刷等でお金はかかるように設計されている)
オープンテキストブックは、学生からみると非常に魅力的でした。
書籍を、章で分けて買うなどの購入方法ができるという、利点があったからです。
一方、著者にとっても、非常にメリットのあるお話しでした。
著者の印税収入は、ある年に、新版を出版しても、次の年、また次の年と、中古品が市場に出回るため、毎年の著者の印税収入は減っていってしまいます。
それに対し、FWKのオープンテキストブックは、低価格(無料+α)であったため、中古市場が育ちにくく、平均購入価格は、30ドル程度は、キープし続けられるという利点がありました。
著者にとっては、3年後には、正規書籍の購入よりも高い印税が手に入ることになり(オープンテキストブックの印税率は高く設定されていた。)
魅力的なサービスとなり、根付いたわけです。

初期の段階で、サービス提供者側は、どこまで想定していたのでしょうか。学生へのメリットを考えていただけでは、上手くいかなかったでしょう。教師の印税収入に対する現状への理解、どこまで考えきれていたのかはわかりませが、仮説は持っていたのかな、と思います。著者に突っつかれても、説得できる仮説、それがあるかないかでは全然違います。
フリーを利用するとなると、あるサービスを無料にして、集客し、他のもので収益を得る、そういう考えがすぐ浮かびます。
大切なのは、その業界の関係者、全ての全体間を持つことなのでしょう。
全体間を持って、ビジネスモデルを設計していくこと、それがフリーのモデルを設計する上には必要なことなのではないでしょうか。

PS.この市場には、現在は、Cheggなどの教科書のレンタルサービスも存在している。この会社がおもしろいのは、顧客確保にソーシャルメディアFacebookを上手に利用していることだろう。Facebookの上で自分が使った教科書(特に成績のよい学生で、重要なところに蛍光ペンで線が入ると価値が上がる)を学生に自分で宣伝させ、レンタルが成立すればアフィリエイトモデルで学生にもフィーが払われるというバイラルマーケティングでユーザーを急速に広げている。

物事を見る時に、なぜこれは無料(FREE)なのか?という視点を全体間を持った上で考察

無料で提供できているのには理由がある。このサービスで、集客して、他でとるんだなーという安直な視点ではなく、ビジネスモデル全体を俯瞰的にとらえて考えることで新たな気付きがあるかもしれません。

FREEの事例を日本で集める

世間では、FREEを使った事例をいくつか発見する。例えば、cafeで、お菓子などを無量で提供しているのが、その例の一つである。今後、マーケティングの手法が無量に向か中、無量を活用したビジネスモデルは重要な素材になっていくだろう。そのようなものが集まっていけば、1つの大切な素材になると思う。
都内に、FREEを活用したビジネスモデルを研究しているところはあるのだろうか。